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2025年05月03日 06:24
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2011年12月22日 07:19
そのまま通りすぎれば良かったのだ。

「…けて」

おそらく人間ならば気付かないような、か細い声が俺の耳に入ってきた。辺りは負の感情が渦を巻いて、血と死の臭いを巻き散らしている。その中で、今にも消えそうな魂が2つ。どちらもこの場には場違いな正の感情を持ち合わせていて、負の感情と折り重なってなんとも不思議な魂の色になっている。
おそらく瓦礫の下敷きになってしまったのだろう。放っておけば二人で楽にあの世に行ける。そう思いながらなぜか体は近くにある瓦礫の山を退かしていた。

「力仕事は嫌いなんやけどなぁ…」

独り言を呟きながらも次々に瓦礫をどかしていく。そうすると人の影が見えた。

「おーい、起きとるかー?」

人影から返事はない。おそらく返事をする体力もないのだろう。とりあえず、その人影を瓦礫の中から引っ張り出そうとする。手を伸ばした瞬間、その人影に思いきり腕を捕まれた。

「たす、…て」
「今から引っ張り出してやるさかい。後は自分らで頑張り」

赤の他人をそこまで面倒見る気はない。元々、ここに来たのもたまたまだ。自分が居なければ瓦礫の中から出ることさえ出来なかったのだから、自分が面倒をみるのもそこまでだ。

「なら、」
「なんや?」
「このこだけでも安全な場所に…!私は大丈夫ですので、どうかその子を…」


そう言っておそらく自分の子供であろう小さな子を俺に預けて、彼女は気絶した。



――――――
天使と悪魔のいろは。
最初の頃に考えた話なので設定とか違うけど、もったいないので。
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